慌ただしく日を過ごしているうちに、あっという間の11月です。
今夏は猛暑の記憶が強く、一番良い、暑くも寒くもない秋の季節がないままに、冷え込んできましたね。
感染症の季節到来ということで、当院にお越し頂く方にも嘔吐・下痢などの胃腸炎症状や、風邪症状の訴えが増えてきています。

最近注目されるようになってきた「温活(身体を温める行為・活動)」、ご存知でしょうか。
身体が「冷える」と、抵抗力が落ちてしまう、感染症に罹りやすくなる、または、病気には至らなくても何となくの体調不良を覚える・・ということを、身体を温めることで防ごうという考え方に依っています。

既に「冷え性」であることを自覚されている方はもちろん、「いっつも暑くって・・」と言われている方も、実は冷えのぼせの症状だったりすることもあるようですよ。
かく言う私も、以前は冬になると手足はいつも冷たく、どれだけケアをしてもかかとがガサガサだったり(・・しかも左右差がある!)していました。

全く「冷え」の自覚もなく、ただ毎日イライラと追われるように仕事をしていた日々でしたが、10年程前に縁あってある漢方薬を飲み始めたところ、いつの間にか、かかとのガサガサが解消していることに気付きました。
そう言えば、最近はキンと冷えた手足の冷たさもないんじゃないの??

今は分かります。 四肢末端の血行不良、即ち冷えの症状だったんだなーと。

そう言えば・・気がつけば・・といった感じで、色々な改善を実感したり、または、改善してみて初めて心身の不調の存在に気付いたりするということは、漢方薬を飲んでいるとよく経験します。

特に繊細な方の中には、飲み始めてすぐに変化に気付かれて、素敵な表現・・例えば、「これまでは朝起きても重い帽子をかぶっているようだったのが、昨日からは目覚めと同時にサーッと霧が晴れたように爽やかで、あれこれと動くことが出来るようになった」(実際に伺った表現です)・・で、体調の変化を教えて下さったりします。
すごく勉強になります。 本当に有難いことです。

基本的に元気で体調の変化に鈍感な私は、「そう言えば・・」のタイプでしたが、漢方薬の勉強、次いでヨガを始めてから「気付き」は大切だなーと思うようになりました。

今日の、もっと言うと、今の瞬間の自分の心身の調子はどうだろうか。 痛いところや不調に感じる部位はないだろうか。 精神的にイライラしていることはないだろうか。 あるとすれば、その原因は何だろうか。 何か心当たりはないだろうか。

「内観」というそうです。
そして、「気付く」ことが出来た今の自分の体調に応じて対処する。

・・例えば、いつもより少し疲れている感じなので、外出は早めに切り上げよう。 胃腸が重い感じがするので、少し軽めの食事にしておこう・・とか。

もう少し上級になると、予防的に対処することができるようになります。
正に、転ばぬ先の杖。

・・例えば、冷えないように、しっかり暖かい格好をして出かけよう。 月経前には心が乱れやすいので、深呼吸をしてゆったり過ごすようにしよう。 冷えの症状を取るために、または冷えないように、暖める食事や漢方薬を摂ろう・・など。

忙しい毎日、当たり前のことながら自分を見つめることは難しいことも多いですが、これからの冷える季節に向かって準備していきましょう。
有難いことに、冷えを取って温めてくれる処方があるのも、漢方薬ならでは!なのです。